新国立競技場の事業費が2,520億円ということで固まったそうです。建築業界は案件増加と人手不足で工賃が上昇しているので、ここから更に工費が膨らむ可能性もあります。
どんどん作ったらいいと思う。
他のスタジアムと比べるとこんな感じです。 (アテネとリオは改修費用。レートはいずれも当時)
なんと、1つで直近五大会分に相当するという破格の規模です!
確かに大きな金額では有りますが、日本の土木・建築の技術の世界にアピールするいい機会になります。どんどん作ったらいいと思います。公共事業なわけですから、2,520億は民間に流れ、景気の刺激になります。税金の無駄使い、とは思いません。むしろ使えるお金があることはいいことです。4年で作るとして毎年600億。国家予算は100兆近いわけですから、 決してunaffordableなものではないはずです。実際には財源は全部決まってなくて「くじ」頼みらしいですが…
オリンピックは文化の祭典でも有る
ところで、オリンピックにはこんな規定があります。
44.文化プログラム* 1- OCOGは、文化的ないくつかのイベントを計画し、プログラムを作成しなければならない。プログラムはIOC理事会に提出し事前に承認を得なければならない。 2- 文化プログラムは、オリンピック競技大会の参加者とその他の観客との平和でなごやかな関係、相互理解および友情を増進するのに役立つものでなければならない。
「健全な精神は健全な肉体に宿れかし」脳みそまで筋肉な人の集まりにならないよう、人類の頂点を競うべく、文化の催し物をすることが義務付けられているんですね。
立派なスタジアム(ハードウェア)を作るなら、それにふさわしい中身(ソフトウェア)も欲しいです。ハードに2,520億かけるなら、ソフトにも同じぐらいの金額をかけて欲しいです。
世界最大のロボットの祭典でも賞金総額は4億4千万
DARPAという米国国防総省の主催しているロボットコンテストがあります。先日、韓国のチームが優勝したことで大きな話題になりました。
このイベント、ロボットのイベントとしては破格の賞金が出るのですが、賞金総額は4億4千万です。もちろん、自らの技術が国防総省に採用されればそれよりももっと巨額な収入が得られることを見込んでのことだと思いますが、それにしても世界中の天才技術者の注目を集めるには十分な賞金額と注目度なのだと思います。
仮に、スタジアム建設費のうち、1,000億でもロボットに費やしたらどうなるか?
安倍首相は、文化の催し物として「ロボットオリンピック」というのを打ち出しているそうです。
スタジアムの建築費を1,520億にして(それでも過去の三大会ぶんぐらい)、残り1,000億を「ロボット」に使うとしたらどうでしょう?間違いなく、ぶっちぎりでNo.1のロボットイベントになるはずです。賞金総額1,000億円、優勝賞金200億円。殺せんせーさえ上回るハイインセンティブ。そして発表の舞台はオリンピック。世界中に自分たちの技術をアピールする絶好の機会です。世界中の天才秀才たちがこぞって東京オリンピックを目指してやってくることでしょう。
- オリンピックで100メートルを人間より早く走れる二足歩行ロボットが出てくるならぜひ見たい!幅跳びとか棒高飛びとかも見たい!
- ラグビーワールドカップと同時開催で「ロボットラグビーW杯」があったらぜひ見たい!
- 人が乗れるドローンを作って、ハリー・ポッターの「クイディッチ」をやるなら絶対見たい!
日本には世界に冠たるゲームソフトメーカーがいっぱいありますし、本気で開発したら結構強いチームが作れるのではないかと思います。
スタジアムはせいぜい100年。文化は1,000年残る。
前回の国立競技場は作ってから50年で壊しました。いま、仮に1,000億をロボット産業に投入したとしたら、どうなるか?ロボットはここ数年でものすごい進歩を遂げていますが、それをさらに加速させることになります。ロボットに必要な基礎技術がここで全て完成させることが出来るかもしれません。それを日本がリードできたら、どれだけ素晴らしいでしょう。
立派なスタジアムを作ることで、建築技術に進歩があり、意味があることについては否定はしません。しかし、ロボットとか新しい技術のほうが、投資に対して伸びしろが大きいのではないか?という気がします。
別にロボットに限りません。とにかく、ハード(建物)を作るなら、同じぐらいの金額をソフト(文化)にも投資して欲しい、と願っています。