Yahoo!JAPANとソフトバンクが始めた、リアル店舗サービスPayPayが話題です。
中でも、100億円をキャッシュバックするキャンペーンが大きく話題になっています。先日、対応店舗であるビックカメラに行ってきたのですが、PayPay決済列にプラカードが出ており、コミケみたいになっていました。
有楽町ビックカメラへPayPayで買い物しにきた
— 増澤 陸 (@rick08) December 8, 2018
・Apple商品のコーナーが大行列
・「最後尾プラカード」まで出てる
・家電売り場もすごい行列
・途中システムトラブル起こるも行列から離脱する人なし
これだけの反響だと、100億円の予算消化はすぐに行きそう。 pic.twitter.com/E76FWcJYt2
PayPayと「Yahoo!ウォレット」などはどう違うのか?
PayPayに登録して、チャージしようとすると、「Yahoo!マネー」に連携するように言われます。
Yahoo!ウォレットなら知ってますが、マネーはあまり馴染みがありません。
整理するとこんな感じです。
Yahoo!JAPANが提供する決済サービスの名称が「Yahoo!ウォレット」で、これはクレジットカードや銀行預金支払い、Tポイントといったものに連結されています。その中に「Yahoo!マネー」という電子マネーサービスがある。という整理です。Yahoo!マネーはYahoo!ウォレットの一部なので、当然クレジットカードや銀行預金払いに対応しています。ほかにもヤフオク!の売上金受取なども可能です。
PayPayは実店舗決済と電子マネーを複合した新しいサービスで、Yahoo!JAPAN IDとは独立したものです。チャージする際に、Yahoo!マネーからチャージする、という形で連携がされるようになっています。それ以外に、一部のクレジットカードと直接連携をしたり、今後、銀行口座と連携して出金ができるようになることが計画されているようです。
Yahoo!マネーが電子マネーなのであれば、PayPayを新しく始めなくても、Yahoo!マネーにリアル店舗決済機能をつけたらよかったんじゃないか?とも思うのですが、そこはいろいろな事情があるのでしょう。
今回のキャンペーン
今回のキャンペーンを整理すると、こんな感じです。
対象店舗で何を買っても2割引きになり、予算が100億円あるということで、普段なかなか割引にならない商品や、値段のする新作家電商品などをお買い得に買えるチャンスといえます。
一方、このキャンペーンの目的はもちろん、「ユーザ数を獲得すること」。
上述のとおり、PayPayは、全く新しいサービス。Yahoo!JAPAN IDと連携こそしていますが、ゼロからの集客となります。
決済インフラとして広がるためには、ユーザ目線だと使える店舗が多いほうがいいですし、店舗から見ると、使うユーザが多くないと導入する気にならないです。そういうわけで、まずはユーザを増やし、その勢いで店舗も増やそうというのが目的だと思われます。
顧客獲得単価とは?
お客さんを集めるのが目的である以上、100億円で何人ぐらい集めたい、という目標があるはずです。
この、かけた金額を獲得できたユーザ数で割ったものを「顧客獲得単価」といいます。
顧客獲得単価の計算式は上記の通りシンプルなものです。今回は予算が100億円なので、それで獲得できた人数で割ればいい、ということになります。(厳密には、宮川大輔さんへのギャラや、広告出稿、新規登録者に配る500円分の電子マネーなども含める必要がありますが、計算を簡単にするために省いています。)
PayPayの顧客獲得単価を見積もってみる。
PayPayにおいては下記の2つが重要なKPIと見ています。
- 平均決済単価(A) 「1回あたり、いくらぐらい買い物をするのか」
- 一人あたり平均決済回数(B) 「一人あたり、何回使ってくれるか」
ビックカメラで10万円のiPadを一発で買う人もいれば、ファミリーマートで数百円の買い物を何度もする人もいるはずです。金額が大きいと割引のインパクトがありますが、本来的には日常的に反復して使ってほしいもののはず。なので、このAとBの両方が大事と思われます。
さて、顧客獲得単価ですが、上記のKPIの流れが明らかになれば、簡単な計算式で、顧客獲得単価は割引率×決済金額とわかります。一人あたり10,000円を使い、それを2割引するなら、獲得単価は2,000円です。
割引率の期待値を計算する
期待値とは、確率×値の合計のことです。
サイコロの目を例に取ると、6面のサイコロの場合、出る目の期待値は3.5です。
今回、会員の分布はこうなっています。
全PayPayユーザの中にはソフトバンク・ワイモバイルの契約者もいれば、Yahoo!プレミアムの会員もいます。重複しているお客さんもいますが、その場合、有利なほうの条件が適用されるかと思います。
各ユーザ属性ごとの割引率の期待値は上記のようになります。
さらに、それぞれのグループがどのぐらいいるか、ですが、いろいろシミュレーションしてみたのですが、ここの値を変化させても、結果にはそこまで大きな違いはありませんでした。
あまり差が出なかったので、キャンペーン全体での割引率は24.6%引きぐらいと仮定して問題ないのではないかと思っています。
PayPayの顧客獲得単価の見込みはこのぐらい?
この24.6%と、一人あたり月額上限50,000円という条件を使って、ざっくり計算したのが次の表です。
期間中、数百円で何回も買い物する人から、一撃で大きな金額を買い物する人までいますが、全体をならすと、獲得ユーザ数で50万人から80万人。獲得単価で12,000円から18,000円程度になるんじゃないかな?と思っているのですが、さて、どうなるでしょうか。(厳密には、宮川大輔さんへのギャラや、広告出稿、新規登録者に配る500円分の電子マネーなども含める必要がありますが、計算を簡単にするために省いています。2回目)
100億円はいつごろ無くなりそうか?
仮に、PayPayによる一日の消費金額が20億円とすると、それによるキャッシュバックに必要な金額は1日約5億円。100億円は20日ほどでなくなります。その場合、クリスマス頃にはすべて消費してしまうことになります。
一日の消費金額20億円、ですが、これはビックカメラの一日の売上高にほぼ匹敵します(ビックカメラ年間売上高8,400億÷365=23億)。ファミリーマートやH.I.Sなどでも使えることや、ボーナス商戦シーズンで通常よりも売上が大きい時期というのを考えても、一日20億は少し大きすぎる気がします。このことから、キャンペーンの年越しはかのうじゃないかな?と思います。
また、100%還元の当選についてはこの100億円とは別に予算が用意されているという話もあります。そこから考えると、もともとの終了期限である3月まで持つ可能性もあり、いま焦って不要不急なものを買ってしまうのはあんまりいいことではないかもしれません。
結果が公表されることはないかもしれませんが、100億円がどのぐらいのスピードで消えていくのかも含めて楽しみに見守りたいと思います。
【追記 12/13 22:15】予想、全然違ってました!!!!!
先程、発表があり、PayPayキャンペーン終了しました。
100億円を10日間で使い切ったそうです。
また、「全額当選」は共同開催、と書いてあるのでやはり予算は別だったんですね。
プレスリリース
と、いうことは、10日間で500億円の流通額。1日あたり50億円。でかい。。。。。