今年も年賀状が減り、2016年も昨年同様の30億枚を目指しているものの、これはピーク時よりも12億枚も少ない枚数です。メールの発達や高齢化でこれからも減少に歯止めはさけられないと思いますが、郵便局は歯止めをかけるべく様々な手を打っています。その一つがテレビCMです。ココ数年のものを見てみました。
テレビCM一覧
年賀状の拡販のため、毎年11月ごろからテレビCMが流れます。
2008年、二宮和也さんほか
2009年、櫻井翔さんほか
2010年、榮倉奈々さんほか
2011年、蒼井優さん
2012年、夏菜さん
2013年、篠田麻里子さん、柿谷曜一朗さん
2014年、ハライチ澤部さん、波留さん
2015年、嵐さん
蒼井優さん若いーー。
それにしても、今年は嵐を5人まとめて、です。今、多分いちばん高いCMタレントじゃないでしょうか。一人でも十分高いのに5人て。力の入れようが伝わってきます。
CMを見ていると、子どもでもなく、老人でもなく、20代から40代がターゲットでしょうか?狙っているのは年賀状を出さない層の掘り起こしだと思うのですが、ちょっとターゲットが広すぎてぼやけた感じにも思えます。この辺りが1億人を対象に30億枚とか売る商品の難しさかもしれません。
でも、果たして、「嵐も出してるから、私も」って思うんでしょうか?出したらメンバーからお礼が届くわけでもなく、「嵐は嵐。私は私」じゃないでしょうか?嵐のファンの方がメンバーに送るのでしょうか?嵐のCDは毎回50万枚ほど売れますから、それと同じぐらいの人数で、全メンバーに送るとしても、50万×5人分=250万枚ほどの押上効果です。
興味が無い人、去ろうとする人をマーケティングだけで引き止めるは非常に難易度が高いです。残っている人の満足度を高めたり、新たな人も使いやすいように利便性を上げるなど、目先を変える必要があると思います。
郵便局の年賀状マーケティングを振り返る
そもそも、年賀状は減り続けています。
1. インクジェット対応
年賀状といえば、いまやパソコンで印刷するのが主流だと思います。年賀状はわりと早くから、家庭用のインクジェットプリンタに対応した用紙の年賀状をはつばいしていました。が、これが毎年先に売り切れます。なぜ毎年需要予測を失敗するのでしょうか。郵便局員に枚数ノルマを課していることと関係があるような気がします。
2. 販路拡大
この季節になると、ターミナル駅やショッピングモールに臨時の年賀状売り場が生まれます。もちろん、コンビニでの発売も。
ターミナル駅などで見かける即売所ですが、あれは本当に人件費と売上が合ってるのでしょうか?郵便事業はそもそも赤字ですが、仮に年賀状1枚の営業利益が10円あるとして、経費が一箇所あたり2人張り付けで4万/日としたら、一箇所あたり4,000枚/日とか売らないといけません。そんなに売れてるのかなあ。
コンビニでの発売分はすでに印刷済みの単価が高めのものが多く、年が明けてから「送り洩れ」の人に送るのに使うイメージ。あれも売れているから置いているというより、コンビニで切手を扱うバーターで置いている気がします。
3. mixi年賀状の終了とLINE非対応
mixi年賀状というサービスがありました。相手の住所を知らなくてもmixiでつながってさえいれば年賀状が送れる、というサービスでした。コミュニティがネット上に移行するのをうまく取り込んだサービスでしたが、2013年、終了します。
じゃあ、代わりに「LINE年賀状」「Facebook年賀状」をやったかといえば、やっていません。LINEでは「あけおめ」的なメッセージやスタンプ、写真を直接送ることができますが、デコった写真が実際に印刷されて手元に届く、というサービスがあってもいいじゃないかと思います。なんでやらないのかわかりません。
スマホで送れるアプリまで作っておいて、LINE連携がないのはちょっとなあ、と思います。
4.お年玉の景品
そもそも、現在のお年玉付き年賀状ハガキは、終戦直後に「いまだ通信手段が不十分だが、年賀状を送ることで互いの消息を知らせあえたらいいのではないか?みんなが買ってくれるようにくじをつけよう」という発想で始まったものだそうです。
その当時は素晴らしいアイデアだったと思うのですが、年賀状が義務感で毎年出す者になり、これだけ懸賞が世にあふれている中、果たしてくじに期待をしている人がどれだけいるでしょうか?
今年から1等景品が現金10万円になったのですが、ご存知でしたか?そもそも去年までは1万円だったそうです。でも、これ、何枚買ったとしても、一枚も受けとらなければ絶対に当選しないんですよね。果たして売上にどれだけ貢献するか謎です。
5. クリスマスカード市場の無視
そもそも年賀状は面倒なわけです。「喪中は送らない」「年内に到着してはいけない」「一定の期日までに投函しないといけない」「でも、大きな郵便局に持ち込めばなんとかなる伝説」「来年の干支なんだっけ?」などなど。
その点、クリスマスカードは楽です。喪中でもいいですし、到着タイミングも12月に入ってから25日ぐらいまでに着けばいいですし、柄もサンタとツリーとトナカイで変わりません。年賀状のような「ちゃんとしないと」感はありません。"Merry Chiristmas & a happy new year"とまとめてしまっても違和感ありません。
単価を上げることもできます。いま、市場にはいろいろな趣向を凝らしたクリスマスカードが様々に出ています。500円、1,000円するものがザラにあります。
年賀状は、会社の付き合いで送っている人も多かったことから、定年退職すると、急激に枚数が減少します。それでもやめずに送る人は、相当親しい人や親族などどうしても送りたい人だけです。大切にしたいのであれば、それだけ気持ちの子もっとカードを贈ろう、という文化も作れたはずです。
封書なら82円か92円で単価増にもなりますし、なんなら郵パックでクリスマスプレゼントと一緒に送ることも出来ます。「面倒な年賀状やめて、新年の挨拶とまとめてクリスマスカード送るほうがいいんじゃない?」という文化を作るチャンスもあったのではないか、と。個人間もそうですし、会社間も同様です。
さて、今年の年賀状はどうしよう
そういうわけで、今年の年賀状です。残念ながら「クリスマスカードを送る」文化はまだ浸透していないので、今年も出す人は年賀状ということになりそうです。一方で、終了宣言をする人もいるみたいです。
定年退職すると、年賀状の枚数は激減します。2016年も沢山の人が定年退職するでしょう。一方、子供の数、新社会人の数は減り続けます。年賀状を初めて積極的に出すようになるのが、クラスの好きな子に送りたい、という動機だとすると12歳ぐらいからでしょうから、グラフにするとこんな感じ。
結果、今後も年賀状は減少するでしょう。他の通信手段も増えてきた中、郵便局が年賀状にイノベーションを起こすことができるのか?雑煮でも食べながら考えたいと思います。