なぜか1年前の記事が今日になってバズっていたので、読んだら、とんだ時代錯誤でびっくりした。なるほど、生き証人は死に絶えて、いま生きてる古い人間はゾンビというわけか。
生き証人が死に絶え、ガラケーと同じ轍を踏みはじめたスマホ広告事情
藤永さん、これだけ諦観の中で希望を見出していらっしゃるのだから、さぞかし立派なメディアを運営されていることなのだろう。
僕が引っかかったのはこの2点だ。
「スマホ向けアドネットワークの実情?」
1. メディアはミスタップを誘導するようになる
2. アドネットワークはクリックがはけるものをどんどん優先する
3. 広告主は広告クリエイティブをテキトーにさばく
「広告販売において、対面営業の重要性」
インモビは、広告は代理店経由で販売し、メディアは担当者の面談があって開設される。
こうすることで、広告クリエイティブの向上を働きかけることができ、メディア側にはミスクリックやハイスピードローテーションをさせないように牽制することができる。
なるほど、ロートルには受けそうな話である。そして、30%ぐらいは真実を含んでいる。しかし、全然足りない。
ガラケー時代の優秀な広告マンは次のどっちかができるひとだった。両方出来ればスーパースターだ。
- 「獲得できるメディアは限られてる!」
ごく一部の限られたメディアの運営をしてるオタクをいかに飲みに誘って接待漬けにして、何ヶ月先まで枠を押さえるかことができるか! - 「じゃぶじゃぶ出すクライアントは決まってる!」
どの会社がいくら広告予算を持っているか正確に把握するのは第一歩。担当者のデスクに置いてある資料をコッソリ持って帰ってこい。把握できたら次は、担当者の弱みを握って、自分のところにたくさん振り分けさせろ!
いまや、こんな広告営業マンはさすがに死に絶えただろう。
藤永さん、いまの広告クライアントがどれだけ効果測定ツールを使い倒しているか知らないわけではあるまい。担当者がどれだけたくさんのKPIとにらめっこしてるのか、しらないわけではあるまい。アドネットワーク経由だろうがなんだろうが、広告掲載面ごと、クリエイティブごとにギリギリまで最適化するのは当たり前だ。もはやクライアント側のほうが代理店より先に数字を把握してる。(そもそも、クリエイティブの最適化なんてもはや手作業でやることじゃない。フル自動だ)
クライアントのほうがメディアの理解も、クリエイティブの選択も、広告施策もそれぞれの効果も全部詳しい。一次情報を持ってるのは代理店ではなくクライアントだからだ。自分より詳しい人に何かを提案するのはとても難しい。そんな時代になって、代理店に求められる機能はなんなのか。端的に言えば、次の2つだ。
- スマホ独自のKPIと施策に精通。クライアントが仮説・検証する手伝いができる。
一次情報はクライアントのほうが豊富に持っている。代理店ができるのはその情報を束ねること。業界全体のスマホ独自のKPI(DAUやMAUやその他色々)に精通し、どの施策が何に効くのか。クライアントに見えてないものを提案できること。クライアントと一緒にPDCAサイクルを回せることだ。メディアに対してもどういうコンテンツがユーザ価値があって、クライアントに対しても価値提供できるのかアドバイスできたらなおいい。 - スピード・スピード・スピード。
ガラケー時代は月次でよかったものが、今や週次・日次・Hourlyだ。「来月また飲みに行きましょう」でカバーできるものではない。精度の高い情報を素早く提供しようと思ったら、種々の効果測定ツールを使いこなし、必要なデータをすぐに引き出せることは当たり前だ。時にはエンジニアとタッグを組んで、分析・検証をする必要もある。それも、ものすごいスピードで。
対面営業は必要だ。しかし、その中身はものすごい勢いで変わってる。そしてそれはまっとうな方向に変わっている。「ガラケーと同じ轍」を踏むクライアントや代理店やメディアがあるのだとしたら、それこそ死に絶えるかゾンビのまま生き続けるしかないのかもしれない。