「レシピ」や「レストラン」など、ユーザによるクチコミでコンテンツができていく、いわゆるCGM/UGMと言われるメディアについて考えてみたいと思います。
ニワトリが先か、卵が先か。選ぶべきは?
主要なクチコミサイトの月間訪問者数と投稿件数を推定してみました。
(月間訪問者数はsimilar web やAlexa、各社発表数値などを参考に独自に推定。投稿件数はGoogleのインデックス数から推定しています。Googleインデックス数なので、「特集ページ」「カテゴリページ」など投稿以外のページも含みます。)
全体的に、投稿件数と月間訪問者数は比例しているように見えます。こうしてみると、旅行、結婚、就職のような『非日常系』のコンテンツは、それ以外のものに比べると投稿数が伸びず、訪問者数もそれなり、というようにも見えます。一方で、これらのコンテンツは、投稿件数こそ少ないですが、内容は濃いものになっているはずです。だから広告価値も高いのですね。
質の高いコンテンツには人が集まりますし、人が増えれば、コンテンツも充実します。この二つは常にニワトリと卵の関係です。 その場合、問題になるのは「どちらから先にやるべきか?」なのですが、新規でサービスを考えていく場合なら、当然、質を優先に考えるべきです。ユーザが多くいても、そこにいいコンテンツがなければ結局ユーザは定着しないからです。
コンテンツの質を上げるにはどうするか?
コンテンツの質と量の向上に関する多項式はこうなっています。
「よかった!」「楽しかった!」「感動した!」「もう、最悪!」など、誰かに伝えたい!という想いが心の中に起こった時にコンテンツは生まれます。その熱量が十分大きければ、頻度は少ないかもしれませんがインパクトのあるコンテンツが生まれます。逆に日常的な事柄でも、頻度が高ければ長い目で見るとコンテンツが積みあがっていきます。数があれば、いくつかは面白いものが出てくるものですし、コミュニティも自然発生します。この「熱量」と「頻度」はバランスよく高くなっていくのが理想と言えます。
ポイントは、多項式になっていること。お金は掛け算ではないのですね。お金が掛け算されてしまうと、「熱量と頻度がどれほどあっても、0円だと何もしない」ということになってしまいます。お金やポイントがもらえるともっと頑張る、という要素は確実にあると思いますが、それがすべてではないのです。
Holidayというサービス
Holidayという「おでかけプラン」を簡単に作れるまとめサイトがあります。
そのHolidayさんのイベントがあるというので、行ってきたのですが、そこで、「熱量と頻度」について参考になる話がありました。
イベントには高橋真麻さんも来ていました。
高橋真麻さんも2つプランを作ったそうです。
1個め。新婚旅行のイメージらしい。
2個め。こっちはリアルに回ってみたい。
こういうイベントにブロガーとして初めて呼ばれたので、ちょっと嬉しかったです。運営者に直接話が聞けたし、芸能人も見れたし、イベントはいいですね。
さて、外に出かける、という切り口なら、旅行サイトの4travelがあります。 「旅行」は確かに特別感があり、熱量としては十分です。一方で、多くの人にとっては頻度は限定的。4travelみたいに旅行に特化したサイトだと、メインの活用は旅行を検討する時、ということになるのでしょう。(もちろん、コミュニティとしての熱量も十分にあるサイトですが。)
Holidayでは熱量の高い「特別な旅行」と頻度の高い「普段の休みの日」の両方をカバーしようとしているんだなと思いました。うまく行けば、日常と非日常を上手にブリッジできるかもしれません。
熱量の上げ方
Holidayさんでは、「Holidayワークショップ」というのを不定期に開催しており、自治体などと連携して全国各地で、街歩きと、実際にプランを作ってみる、といったイベントを実施しているそうです。
当日、その場に来ていた、Holidayコミュニティマネージャーの谷さんによると、ワークショップに参加されるのは、地元愛のある一般の方で、ワークショップに来て始めてHolidayを使う人も多いとか。地元の魅力を知ってほしい、という思いで作るので、ワークショップのあとも継続的にプランの登録やフォトレポ、コメントなどのアクションをしてくれるそうです。
僕もHolidayでプランを作ったことがあるんですが、実際に作ってみると、それなりに手間がかかりました。なので、ワークショップとかでインフルエンサーの人たちを捕まえて、そこからコミュニティを広げていくような形が、ピッタリ合っているのかもしれません。
コミュニティーマネージャーの谷さん
ちなみに、谷さんは新卒2年目だそうです。こんなかわいい子が来て、「ねぇ。休日のプラン、考えてくれた?」って言われたら、そりゃ熱量もあがるよね。(下衆)
もちろん、世の中には「引っ越し」や「カードローン」のように、熱量は全然高くないし、頻度も決して多くはない、というサービスもあります。そういう場合、必要性に対して答えを出すようなサービス設計になりますが、何らかの形で「熱量」と「頻度」があるコンテンツと連携をしていくと、何か違ったブレイクスルーが生まれるかもしれません。
コンテンツの質と量、ということでいえば、『はてブ とnanapiどっちがクソか』といった軸でも整理してみたいですが、それはまあ、要望があったらやろうかと思います。
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