ソニーの井深さん・盛田さん、ホンダの本田さん・藤沢さんを挙げるまでもなく、画期的な急成長を遂げた会社には、すごいNo.2がいました。現代だとFacebookのシェリル・サンドバーグとかでしょうか。日本のIT企業で将来語り継がれるような人材を挙げてみたいと思います。(順不同です)
・ サイバーエージェント 日高裕介氏
藤田さんというカリスマ経営者を支えてるのが日高さんです。営業の方だと思っていたのですが、最近はゲーム事業をやっていてすっかりクリエイティブな雰囲気に。どっちもできるスーパーマンという感じです。あと、グループ会社の兼務をされることが多かったような気が。
・ ヤフー 川邊 健太郎氏
ソフトバンクグループには孫正義さんというすごすぎるビジョナリーがまずいます。ヤフーでは宮坂さんが、明確な目標や経営方針を掲げてビジョンを示していると思います。その中で、川邊さんは圧倒的な人間力で高すぎる目標に対して全体を巻き込んで一体感を出すようなそんな役割をしていると思います。
・ mixi 川崎裕一氏
元はてなの川崎さんはIT業界では有名人でmixi入りされた時は驚きでした。笠原さん、朝倉さん、森田さんと短期間に3人も社長が変わっていますね。mixiにスーツを持ち込んだ印象がいまだに強いです。
・ gree 山岸広太郎氏
山岸氏は「副社長」じゃなく「副会長」です。副社長、という肩書はよく見るのですが、「副会長」というのは生徒会ぐらいでしか見たことないです。
・ コロプラ 千葉功太郎氏
コロプラの成長を知る人に聞くと、みんな口をそろえて「コロプラは千葉さんが作った会社だ」といいます。特に、スマホシフトの時に、千葉さんが猛烈な行動力と馬力と人間力でクリエイターを採用しまくったことでいまのコロプラがあるんだと思っています。
・ チームラボ 堺大輔氏
猪子さんはダ・ヴィンチ以来500年に1人の超天才であることは間違いありませんが、何しろ二言目には「超ヤバい」しか言わないので、凡人には理解不能です。チームラボという会社が回っているのは、1人で15人分ぐらいの仕事ができる堺さんがいるからだ、と、チームラボと仕事をしたことがあるひとはだいたい言います。
・ gumi 川本寛之氏
No.2、ではないのかもしれませんが、CFO型の代表として。強烈な個性の社長の元で、数十億も調達した凄腕CFOです。ベンチャーのCFOがすべきことを聞いてみたいです。
また、残念ながらもう現役ではいらっしゃらないですが、楽天の國重惇史氏や、昨年他界されたソフトバンクの笠井和彦氏も将来の歴史で語られる人物かなと思います。
No.2のタイプ
ナンバー2にはいくつかのタイプが有るように思います。
- COO/スーパーゼネラリスト
営業から製造・開発、人事、管理まで、会社がその時一番必要とするありとあらゆる仕事を完璧にこなすことができます。 - CFO
社長が描いたビジョンを実現するための金を用意しつつづけます。 - ムードメーカー
社長が厳しすぎる時、社内を調整できます。 - 参謀・軍師型
実務は一切せず、本質は何かを常に追い求めます。 - スポークスマン
社長がオタク系の場合、社内外にメッセージを伝えます。逆のパターンで社長がスピーカーの場合、「スピーチライター」になります。 - スーパーエンジニア
社長が大法螺吹きの場合、それを実現する方法を発明します。
役割がひとつに固定されると言うよりは、「あるときはCOO、ある時はCFO」みたいに幾つもの役割が演じているように思います。
No.2は社長になれないのか?
社長・副社長というのはひとつの役割にすぎないと思っています。社長は、社員や世の中に未来を示す「太陽」のような存在ですが、副社長は太陽の光が届いていない裏側を照らす「月」のようなものです。太陽も月も実際の視直径(見た目の大きさ)は同じ。バランスで成り立ってます。
社長という強烈な光を発する人間でも全てを照らすことは出来ず、光の届くところも届かないところもしっかりケアして、事業を回していく。そんな重要な役回りだと思います。
ここに挙げたようなすごいNo.2、というのは、多分、自分で会社を立ち上げたなら、間違いなくうまく回すことができる能力がある人です。若い人で「参謀になりたい」という人がいますが、はじめからNo.2を目指しては、No.2にもなれません。高い志を持ち、それを実現する方法として、No.2を演じることを選ぶ。上に上げた人も「本当は自分こそ実質No.1だ」と思いながら仕事してるんじゃないかと思っています。
No.2だけが出来る仕事
10月19日放送の「軍師官兵衛」で、印象的なシーンがありました。
秀吉から朝鮮出兵の講和に派遣された官兵衛には、秀吉から講和の条件が書かれた書状が渡されていました。ところが、その条件はあまりに高飛車で、とても相手方が飲めるものではありませんでした。そこで、官兵衛は書状を燃やしてしまいます。
(NHKオンデマンドより)
官兵衛はNo.2ではありませんが、これこそがNo.2だけに許された仕事だと思います。普段はTOPの描いてくる途方も無い絵を実現するために奔走します。TOPのビジョンが大きければ大きいほど、困難であればあるほど、闘志が燃え上がるドMなところがあります。
しかし、あまりに無茶なものは「燃やしてしまう」権利を持っています。だからこそ、理想の実現のために奔走できるのだと思います。
官兵衛はこのことが原因で蟄居を命じられます。これはTOPのやり方としては厳しい。自分の方針が悪かったと素直に認めるか、No.2が呆れてしまうような更に大きな絵をもう一度書いて出すか。それでこその、TOPであり、ビジョナリーなのではないかと感じました。
いずれにしても、No.2というのは普段あまり褒められることがありません。ここに挙げただけではなく、たくさんの素晴らしいNo.2の方が沢山いらっしゃいます。IT業界からも後世に語り継がれるような人が続々と出てきて、高く評価される日が来るのを期待したいと思います。