CESAより、現在のアプリゲームなどで行われているガチャでのアイテム取得に関する、確率表示のガイドラインが発表されました。
「ネットワークゲームにおけるランダム型アイテム提供方式運営ガイドライン」制定に関するお知らせ
これがちょっとややこしいので読み解いてみようと思います。
どんなルールか?
ガチャを提供する場合の確率について、下記のように定めています。少し長いですが引用します。
有料ガチャにおいて、サービス提供会社は下記を遵守する。
【全ガチャアイテム提供割合表示】:提供されるすべてのガチャアイテムの提供割合が分かる表示。
また、その表示はユーザーが容易に認識できる場所または方法により表示するものとする。
ただし、サービス提供会社は自己の判断において、全ガチャアイテム提供割合表示に十分に相当するユーザ ーの分かりやすさを維持し、加えてそれをユーザーに具体的にかつ分かりやすく説明する場合には、全ガチャア イテム提供割合表示に代えて、以下のいずれかを選択することができる。
- いずれかのガチャレアアイテムを取得するまでの推定金額(その設定された提供割合から期待値として 算定される金額をいう)の上限は、有料ガチャ1回あたりの課金額の100 倍以内とし、当該上限を 超える場合、ガチャページにその推定金額または倍率を表示する。
- いずれかのガチャレアアイテムを取得するまでの推定金額の上限は50,000 円以内とし、当該上限を 超える場合、ガチャページにその推定金額を表示する。
- ガチャレアアイテムの提供割合の上限と下限を表示する。
- ガチャアイテムの種別毎に、その提供割合を表示する。
全ての割合を表示するか、もしくは代替する表示方法(4つ)を選択できる、ということのようです。
実際にどんな表記になるか?
イメージし易いようにある架空のゲームを考えてみましょう。いわゆる「さんすくみ」を再現した、トータル7枚しかカードがないゲームです。
現在の状態だと、上記のように全てのカードが開示されていることは稀で、全部で何種類のカードがあるかすらどうかわかりません。また、一枚一枚のカードの出現比率もわかりません。
これを今回示された原則の「全ガチャアイテム提供割合表示」で表示する場合、こうなります。
これは分かりやすいですね!では、CESAが認めるその他の代替表示パターンの場合、どういった表記になるでしょうか?
代替表示パターンA 推定倍率・金額選択表示
CESAの代替表示の1番目のものです。
この場合、上限金額が30,000円以内(A-1)、30,000円を超える場合で、金額表示(A-2 記載例1)、倍率表示(A-2 記載例2)に分けられます。
A-1 記載の必要なし
A-2 記載例1 いずれかのガチャレアアイテムを取得する上限金額は300,000円です。
A-2 記載例2 いずれかのガチャレアアイテムを取得する上限倍率は0.1%です。
代替表示パターンB 推定金額表示
CESAの代替表示の2番目のものです。
この場合は、推定金額が50,000円を超えるか超えないかで決まります。上記ではガチャの金額で変化しましたが、実際には倍率と金額の掛け算で決まります。
B-1 何も書かなくて良い
B-2 いずれかのガチャレアアイテムを取得する上限金額は300,000円です。
代替表示パターンC 上限下限パターン
CESAの代替表示の3番目のものです。
実は「ガチャアイテム」と「ガチャレアアイテム」は異なります。CESAの定義では「ガチャレアアイテム」は下記のとおりです。
有料ガチャにより提供されるガチャアイテムであって、同一の有料ガチャにより提供される他のガチャアイテムと比較して、顕著な特徴を有するもの、提供割合が低いもの、または提供数や期間が限定されたもの等、顧客を誘引する目的で提供されるものをいう。
倍率などで決められているものではありません。なので、どこまでを「レア」とみなすかで変わってきます。
C-1 ガチャレアアイテムの提供割合は1,000枚中1枚〜99枚です。
C-2 ガチャレアアイテムの提供割合は1,000枚中1枚です。
なお、いずれも、個別のカードの提供割合までは書く必要がありません。わりと事業者の良心に任されている表記方法に思えます。
代替表示パターンD
CESAの代替表示の一番目のものです。
D レア度◯◯のカードの提供割合は全体のXX%です。
種別ごとに表示するパターンです。例えば、ダブルカードの中である程度ばらつきがあったとしても、それはまとめて表示することが許される感じです。実際のゲームの運営においては、常に新しいカードが投入されたり無くなったりするので、総数も提供割合も微妙に変動します。そのときに「このレアリティを持つカードは、だいたいこのぐらいの割合です」という表記をするのは現実的で、運営に即した形なのかな、と、思います。おそらくはこのDパターンに収束するのではないでしょうか。
多分、いずれ、慣れる
まとめていて感じたことは、「いずれ慣れる」であろうな、ということです。いまは「上限300,000円のカードが含まれています」と言われると、驚いて尻込みし、課金をしなくなってしまいそうな感じが有ります。
でも、実際には、上限30万円のカードは当たらないにしても、それなりの価値のあるカードは手に入るわけで、ユーザがそれに価値を感じてくれさえすればいいのだ、と思います。「30万のカードは手に入らなかったけど、代わりに手に入れたこのカードも素晴らしい。こいつでライバルに勝つ」って思うんじゃないかな、と。
そうなったら、上限金額の表示も、単なる「利用規約」なんかと同様、書いてあるけど読まないものになっていくんじゃないかなと思います。
景品表示法の範囲(クローズド懸賞なら取引価額の20倍)といった上限設定、アイテムのガチャによらない直接購入(定価の設定)、そして何より「表記された確率が正しいかどうかを監査する第三者機関」といったものの導入は今回は無いようなので、実態としてはこれまでと大きく変わらないのかなあ、と思いました。
※上記の「記載例」は、いずれもCESAのガイドラインを見て、筆者がこういうことであろうと解釈をして書いたものです。正確さを保証しているわけではありません。解釈に間違いがありましたらコメントなどでご指摘下さい。