オリエンタルランドさんが決算発表と中期経営計画を発表されていたので、見てみました。新しいアトラクションの計画なんかもチラ見せしてあって、興味深かったりするのですが、とにかく、利益率がすごいです。
決算発表 > http://www.olc.co.jp/news/olcgroup/20140428_04.pdf
売上が4,000億もあるのに、さらに20%伸ばしてくるとか、すごい成長力!
一人あたりの売上高も順調に伸びています。11,076円。確かに1回行くと1人あたりそのぐらいは使うなあ、と納得の金額。大人が増えると一人あたり売上は増えますね。
売上高が伸びた要因は、東京ディズニーリゾート30周年記念。人件費と固定費・諸経費に85億突っ込んで、営業利益を286億増やしました。単純計算でROI 330%!すごい!机上でしか見たこと無い数値w!!!
ホテル事業がまたすごい。
売上高649億に対して、営業利益158億円。営業利益率25%。
同じ規模の藤田観光さんは売上620億 営業利益12億円 営業利益率 2%。
高単価の帝国ホテルさんが売上516億 営業利益33億円 営業利益率 6.4%。
オリエンタルランドさんのホテル事業は他のホテルさんとは異次元のゲームをやってますね。客室稼働率も軒並み90%台後半だし。
中期経営計画です。面白いのがKGIを「営業キャッシュフロー」においてること。これは当期利益に減価償却を加えたもので、簡単に言うと、「確実に次の年に回せる投資金額」のことです。
なお、オリエンタルランドさんの有利子負債金額は529億円。装置産業なのに、有利子負債が売上高の11%程度しか無いのは驚異的。例えば、装置産業の代表である航空会社の場合、ANAさんは売上1兆5千億円に対して、有利子負債が約9,000億円もあります。(H25年3月期)
「営業キャッシュフローを成長投資に充当」と、あります。営業利益を上げるだけなら、ポップコーンのコーンを安いものにする、とか、ショーのキャパシティを増やして上演回数を減らしダンサーの人件費を削る、とか、コストカットすれば良さそうですが、それでは顧客満足度が下がってしまい、元も子もありません。
オリエンタルランドさんの経営理念「ハピネスを届けたい」を実現するには、次々に新しいハード、ソフトを投入していく必要があります。その原動力となるのが、「営業キャッシュフローの成長」とその稼いだお金の再投資、であるわけです。
このKGI(Key Goal Indicator)の設定がさすがだな、と思いました。
「ハピネスを届けたい」を実現したいといっても、「届けられたハピネスの総量」を数値化するのは難しいわけです。じゃあ、ハピネスとはなにか。来場者数なのか、ヘビーユーザ数なのか、来場頻度なのか、一人あたり売上なのか、顧客アンケート結果なのか。いろんな考え方があるわけですが、オリエンタルランドさんはそれを「営業キャッシュフローを3年で2,800億円」においた、と。それだけあれば、再投資が十分可能になり、より多くの人に「ハピネス」を届けられるのではないか、ということなのでしょう。
この、「何をKGIに設定するのか」というのが本当に重要です。KGIに似たものにKPIがあります。KPIの方は、進捗をみるためのものです。
ダイエットに例えるとこんな感じ。
「健康に過ごす」の定義は難しいわけですが、肥満は病気の元なので、体重の管理というのは自分でコントロールするものとしては最適です。理想の体重より5キロほど太っているな、と思っている場合、「マイナス5キロ」というKGIを設定します。
これを実現するために、測定して、運動して、食事に気をつけて、測定して、と繰り返します。これらの行動を管理するのがKPIですね。このKPIも数限りなく考えられるわけですが、あんまり多いとコントロール出来ないので、3つとか多くても7つとかそのぐらいで見るのが普通じゃないでしょうか。
ところで、オリエンタルランドさんの中期経営計画に「舞浜エリア以外の投資」がしきりに強調されていました。カジノ参入でしょうか。HISさんがハウステンボス近くの無人島購入を検討してる、という記事もありましたが、舞浜エリア以外でオリエンタルランドさんが何をやろうとしているのか、とてもとても気になりますね。