それ、僕が図解します。

世の中のビジネスモデルやいろんなものの複雑な仕組みを、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。主な話題はネットビジネス、不動産、オタクネタ、時事ネタなど。中途半端な説明や、図を使ってないものもあるかもしれませんが、温かい気持ちでお許しください。

日本大学アメリカンフットボール部はいつどのタイミングで謝ればよかったのか?

2018年5月6日に行われた、日本大学と関西学院大学のアメリカンフットボールの試合において、日本大学の選手が相手選手に危険な行為をし、それが故意であって、かつ、監督・コーチによる指示のもとに行われたのではないか?ということで話題です。

 

本日、その当該M選手(以下、この記事では単に「選手」と書きます)が会見を開き、監督・コーチから、相手のQBを負傷退場させるように圧力を受けていたことを告白し、相手選手に謝罪する。という会見が行われました。


今回、日本大学、及び同大学のアメリカンフットボール部は、相手への対応、及び広報対応を全面的に間違えていると思います。端的に言うと、嘘・ごまかし・逃亡で乗り切ろうとしているのですが、そのせいで、事柄がどんどん大きくなってしまいました。

 

メディアも他に大きな話題もないので、毎日執拗に取材し、追いかけています。

 

事件はまだ収束していないですが、 日本大学が初手からずっと対応を間違いこうなったことは間違いないので、「ダメージコントロール」の視点で事件の展開を追ってみたいと思います。

 

日大は、どこで引き返せなくなったのでしょうか?


(以下、5/21の日大選手の会見内容が全て真実であったとして話を進めます。図においては「選手」は反則行為を行った日大選手のことであり、監督・コーチは、それぞれ日大の監督・コーチのことを指します。)

 

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この段階で謝っていればそれで済んだ可能性が高いです。幸い、相手選手の怪我も選手生命に関わるようなものではなかったようですし。

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ここで謝らず、また、大学側がここで真相究明に真剣になっていれば、結果が違った可能性があります。

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監督辞任で済むか、第三者による調査委員会を入れるタイミングはこの辺だったんじゃないかなと。

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回答書の内容が逆に相手を怒らせ、選手をも怒らせるものだったので、監督辞任では済まなくなっています。

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選手のせいにした結果、された側はたまったものでないので、しっかり反撃に出ています。勇気ある行動だと思います。

ターニングポイントは5月15日

 

この日、日大側が選手に責任を押し付ける回答書を出し、息子が犯罪者にされることを恐れた父親が弁護士に相談します。そこから一気に陳述書の準備、相手への謝罪、大学側からの言質の確認、会見と進みます。(この弁護士さん、有能ですね。。)

 

5月15日の段階では被害届はまだ出ていませんでした。関学側は日大が自主的に謝罪し、真実を話すことを待っていたのでしょう。

 

日大側は、自ら監督の責任や大学の管理責任を認めることになり、刑事訴追の可能性が高まるので、辛い判断とはなるのですが、やはりここで正直に話すべきでした。

 

結局、危機管理に必要なのは

・ものすごく早い段階で、客観的かつ正しい真実をつかむ。

・監督や学校の権力の影響から自由な第三者による調査。

・内部監査、内部でのしっかりとした批判体制。

・相手のこと、自分のこと(部活動は教育の場であるということ)をしっかりと理解した前提にたってものを考えること。

・嘘やごまかしは必ずバレる、ということ。

ということじゃないでしょうか?

 

 

そして下記が、本日の選手による会見を受けての広報コメントです。

アメリカンフットボール部・M(原文は実名)選手の会見について
2018年5月22日
 本日、本学アメリカンフットボール部のM(原文は実名)選手が、関西学院大学フットボール部との定期戦でルール違反のタックルをし、相手選手にけがを負わせた件につきまして、心境を吐露する会見を行いました。厳しい状況にありながら、あえて会見を行われた気持ちを察するに、心痛む思いです。本学といたしまして、大変申し訳なく思います。

 会見全体において、監督が違反プレーを指示したという発言はありませんでしたが、コーチから「1プレー目で(相手の)QBをつぶせ」という言葉があったということは事実です。ただ、これは本学フットボール部においてゲーム前によく使う言葉で、「最初のプレーから思い切って当たれ」という意味です。誤解を招いたとすれば、言葉足らずであったと心苦しく思います。

 また、M(原文は実名)選手が会見で話されたとおり、本人と監督は話す機会がほとんどない状況でありました。M(原文は実名)選手と監督・コーチとのコミュニケーションが不足していたことにつきまして、反省いたしております。

(日本大学広報部) 

 

いかに、客観的に事態が把握できていないのか?がよくわかります。

 

特に今回、会見の冒頭、選手の弁護士より、「実名・顔を出すのは謝罪のためであるが、報道にあたっては配慮をお願いしたい」という発言がありました。にも関わらず、反省文のタイトル・本文に本人の名前をバッチリ書いてくる無神経ぶり。

 

この先、どこまでも非を認めずに行くなら、もう裁判などで決着をつけるしかありません。そうなれば、こんな危険なクラブと試合してくれる相手はいません。所属選手もついてこないでしょう。現実的には廃部しか無いと思います。名門校であったとのことで、残念ですね。

 

日本大学側は5/24に回答書を出すと言っています。

これまでの対応が全て後手に回っていましたが、ここが最後のチャンスです。回答が下記のような要素を含んでいれば、日本大学側は幕引きを図れるかもしれません。

・日本大学の責任者(学長?)からの回答

・内田氏自身の関学側部員・スタッフおよび日本大学の部員、学生アメリカンフットボール関係者全てへの誠意ある謝罪

・5/6の試合に至る経緯と、指示の具体的な内容の説明

・5/15の回答書の撤回と、何故それを出してしまったかの説明

・5/21の広報文書の撤回と、何故それを出してしまったかの説明

・今後の相手選手及びタックルさせた選手への対応(直接謝罪や損害の賠償)

・アメリカンフットボール部の廃部と部員への謝罪

・法的な処分を素直に受ける覚悟の表明

 

変に防御姿勢を見せると逆効果です。もはや何をやっても「先手」を打つことにはなりませんが、今後求められそうな事をきちんと想定して、「言われる前にやる」ことが求められるんじゃないかと思います。

 

ちなみに、この日本大学の責任者が出てこないことに起因するダメージコントロールの失敗。最近他の事件でもありました。未成年への性的な嫌がらせで5人のメンバーが4人になったあの事件です。あれも初手がら対応を間違え、その後回復できなかったパターン。

 

それに習って、監督はもうお辞めになるようですし、今後の呼称は「内田メンバー」と呼んではいかがでしょうか?

 

5/24 続編書きました。

rick08.hatenablog.com