日本初のプロゲーマー、梅原大吾さんという方がいらっしゃいます。格闘ゲームで世界一になり、何度かテレビにも出ていらっしゃるので、ご存知の方も多いと思います。
特に有名なのはこれですね。
体力を削りに来た相手の攻撃を14回連続で退け、(退けるタイミングは1/6秒らしい)逆転勝利する、というものです。
その梅原さんは何冊か本をお書きになっていて、そのうちの一冊を読んでみました。
さすが、世界を極めただけあって、名言のオンパレードでした。
勝ち続けることについて
「結果を出す」ことと、「結果を出し続ける」ことは根本的に性質が異なる。結論から言えば、勝つことに執着している人間は勝ち続けることができない。「99.9%の人間は勝ち続けられない」
梅原さんは時々、勝てなくなる時期があり、「あいつはもう終わった」と言われることがあります。そういうときもたゆまず練習して、最終的に大きな大会で成果を収めるということを繰り返してきました。彼にとっての最優先は「プロとして結果を出し続ける」ことであって、そのために必要なプロセスとしては「考えられることは全部やる」であり、「全部勝つ」ではないそうです。
築き上げてきた僕の自信は、それこそ100や200の敗北で揺らぐことは決して無い。
とも書いています。
努力について
梅原さんが最も重要視しているのは努力です。
才能すらもなぎ倒していく圧倒的なまでの努力
僕にとっての正しい努力。それはズバリ、変化することだ。昨日と同じ自分でいない。
傍目からみて、才能がある人にこう言われては、もう努力するしか無いんだな、という感じです。
勝ち続ける覚悟
勝ち続けるために、新しい技を試し、戦法を編み出さなければなりません。ゲームの世界では、自分が編み出した戦法もすぐに誰かに真似をされてしまいます。それをさらに上回ることをやり続け無ければならないそうです。安易な勝ち方をしていると、いずれ勝てなくなってしまう、と。
トップでい続けるには、試行錯誤の果てにはそれを上回る難度の試行錯誤が待っていることを覚悟しなければならない。
とにかく、壮絶な覚悟でゲームに向き合っているのが分かります。
自分自身について
絶対にゲームの天才ではないと断言できる。
「梅原大吾の最大の武器はなにか?」そう聞かれたら「どれだけ殴られても諦めずに起き上がって戦うところ」
ゲームの好き嫌いについて
ゲームに関しては、「とっくに飽きてる」そうです。
そもそも勝負の本質は、その人の好みやスタイルとは関係ないところにある。勝つために最善の行動を探ること。それこそが重要なのであって、趣味嗜好は瑣末で個人的な願望に過ぎない。
趣味嗜好の問題で、ゲームが好きだからやっているというのではなく、彼にとっては、勝ち続けることが自己実現であり、そのためにやっているとのこと。
大会を一つの目標にすぎないと考え、自分の成長を目的と決めて、喜びは日々の練習にこそ感じたい。
大会に勝つことすら目的ではなく、求めるのは自分自身の成長。完全に求道者の世界です。
「諦めなければ夢は叶う」のか?
梅原さんにとっては、プロ・ゲーマーになることや、大会に勝つことが目的ではなく、勝ち続ける存在でいることが夢であり、それは、叶っているとも、まだまだ、追いかけ続けられる夢であるともいえます。
よく「諦めなければ夢は叶う」と言いますが、これは嘘だと思います。
図にするとこんな感じ。
夢が叶った人は、みんな、夢を最後まで諦めなかったことは確かです。諦めた人は夢が叶っていないのも当たり前。でも、諦めてないけど、夢が叶ってない人(オレンジのところ)も山ほどいるわけです。
結局、「諦めない」ことは「夢が叶う」ことの必要条件であって、十分条件ではないので、「夢が叶った人は、夢を諦めなかった」は成り立ちますが、逆は成り立ちません。
じゃあ、これについて、梅原さんはどう言っているか?これが秀逸です。
諦めなければ結果が出るとは言い切れない。だが、諦めずに続けていれば、人の目が気にならなくなる日が来るのは確か。そして、人の目が気にならない世界で生きることは本当に楽しい、と確信を持って断言できる。
「諦めなければ、人の目が気にならなくなる」まさに、自己の成長だけを目的とし、それに向かってひたむきに努力をすることに喜びを感じる。これが結果を出し、勝ち続ける人の思考なんだな、と深く勉強になりました。