ソフトバンクグループのニケシュ・アローラ氏が退任されました。
Nikesh Arora - Wikipedia, the free encyclopedia
孫正義氏自身がヘッドハントしてきて、「彼が事故にでも合わないかぎり、最も有力な後継者」と言っていたのが、取り消しになった格好です。
- 彼に支払われた2年合計246億円という高額な報酬は後継者になることが前提だったからでは?
- 600億で買い付けたという株はどうするの?(2015/8 7,125円、現在5,842円。含み損が相当ある。孫正義氏が買い戻す、ということだが、いくら?)
- 肝心の孫さんの後継者は一体どうするの?
と、気になる交代劇では有ります。
経営者の交代は非常に難しい課題
ベネッセを退任された原田泳幸さんとか、
藤森 義明 | (株)LIXILグループ 取締役・執行役 | コーポレート・ガバナンス | LIXILグループについて | 株式会社LIXILグループ
LIXILを退任された藤森義明さんとか(いまだにLIXILの会社ページに残ってるのはなんでだろう)
ほかにもまあ、結構あります。ただ、話題になるのは派手なキャラクターだったり、解任劇だったりするからで、実際には、外から来てもらった経営者でうまくいくパターンも沢山あって、それらは地道で目に見えないだけかもしれません。
後継リレーがうまくいくパターンといかないパターン
最近、その両方が一つの会社で見れたのはmixiではないでしょうか。
現社長の森田仁基氏です。森田氏は2008年に中途採用で入社され、子会社社長→執行役員→社長、と社内で頭角を表して社長に就任されました。
森田氏の前に、コンサルティング会社出身の方が社長の時期が1年だけありました。その方はM&Aでmixiに入社されてますが、入社してわずか2年で社長に就任されています。で、1年間でやったことは出会いサイトYYCの買収とか。(他にもあると思いますが)
しかし、森田氏は、mixiアプリなどの事業に加えて、モンストという強烈な実績があり、社長に就任しています。これは大きいのではないか、と。
僕の友だちで、親の会社を継いだ人がいるのですが、彼の場合は父親の突然の死がきっかけでした。立派な銀行に勤めていた彼が家業に戻って中身を開いてみたところ、とんでもない借金だった、と。で、かれは経営の立て直しに走ります。実に10年。最近はすっかり経営体質もよくなり、新しい事業の展開もして素晴らしい企業になっています。しかし、きっと、「なんでこんな会社残したんだ」と思いながらの苦しい時が長く続いたのだと思います。血縁は血縁で大変なんだな、と思いました。
後継者をどうするか、は、前任者を吹き飛ばすぐらいの実績を出すか、そうでなければ、事務方の人が社長になってチーム経営に移行するか、でないとなかなかうまいこといかないのではないでしょうか。前任者がズルして、後継と見込んだ人に『実績』をつけてあげることはできるのでしょうけど、そういうのは組織に属する人からは簡単に見抜かれてしまいます。
正直、ある程度『仕事ができる』レベルが高まってくると、経営の「質」に露骨な違いはでてこないのではないか、と最近思います。では、何が違うのか、というと、「あの人だから頑張ろう」という組織のメンバーの人達の気持ちです。他所でどれだけ実績を上げてきた人でも、「その組織」で短期間に強烈なインパクトの有る実績をみせないと、組織のちからは100%引き出せないのだと思います。
もちろん、ニケシュ氏がこの2年間でやった実績、というのはあるのだと思います。ただ、それが組織の構成員全員にパッと分かるようなものだったらまた違ったのかもなあと。そして、投資のようなある程度結果まで時間のかかるものだと不利だなあ、と。本当の退任の理由は分かりません。多分、実績云々ではないのだと思います。ただ、日産にカルロス・ゴーンさんがやってきたときのような衝撃は孫さんが健在だと難しいのかもしれません。
結局のところ、キャリアはお金で買えても、後継者は実績でしか買えないし、そうでないと組織は率いていけないのだと思います。
追記
蛇足ですが、損失額を計算してみました。
金利/手数料は一切考慮していませんが、投資としては成功だった、と。SBに来る前にGoogleのストックオプションを放棄しているそうですが、それをそのまま持ってるのとどっちが得だったのでしょうか。#ソフトバンク pic.twitter.com/qs0f0vAPmZ
— 増澤 陸(Rick Masuzawa) (@rick08) 2016年6月23日