図解はありません。
UEI清水社長のところにお邪魔して、Microsoft HoloLensを試させてもらいました。
Microsoft HoloLens | オフィシャル サイト
HoloLensというのは、簡単に言うと、コンピューター付きメガネ、です。
周囲の状況を認識して、例えば、壁にスクリーンを出したり、空間に3Dのオブジェクトを表示したりすることができます。
VRといえば、htc Viveなどがありますが、あれが視野を全部覆うのが基本なのにたいして、HoloLensはメガネの一部分に映像が表示されるという点が違います。
じゃあ、没入感が全然違うのか?というと、そんなことはまったくなくて、違う世界に踏み込んだ感がすごくあります。
その独特の没入感がどんな感じかというのは、公式の動画より、一般の人が上げてるこっちのほうがわかりやすいので、御覧ください。
で、体験してみて、これを何に使えばいいのかを考えてみました。
教育・学習
実際に幾つかのキャラクターを3Dでモデリングして空中に浮かべているのをいろんな角度から見てみたのですが、ディスプレイで見るのとは違ったリアリティがあります。
恐竜の3Dモデルとか、太陽系とか、そういうのは結構いいなあと思います。歴史とか地理とかの教材にも良いかも。
旅行
先週、Googleのリアルタイム翻訳が話題になりました。
文字をカメラで読み取って自動的に翻訳して置き換えるという機能です。HoloLensで一番期待したいアプリはこれです。タイとか、アラビア語圏とか、馴染みのない文字が多い国に行くときには多分超便利なはず。
観光地で3Dキャラのガイドを購入してガイドしてもらうのもいいですね。「にじいろジーン」のジーンちゃんみたいなのが案内してくれる、みたいな。ガイドキャラが人間サイズだと、ちょっと挙動怪しい人になりそう。イルカは勘弁。
小売業
例えば図書館や本屋さんに行って、本棚の本を読み取って、それを空中でタッチするとぱっとひらいて、立ち読みすることができ、そのままKindleに放り込む、みたいなことが出来るようになるといいなあと思います。
「リアルな本屋ならそこにある本を手に取ればいいじゃないか!」というご意見もあるかと思いますが、数が限られている本なら、デジタル立ち読み&購入は有効なはず。そもそもその本を自分が持ってるかどうか確認したりとかもできます。あと、せどりしてる人向けにそういうアプリができるかも。
そもそも、リアルな本屋・図書館にはいまだに「偶然の出会い」の素晴らしさが残っていて、それはAmazonでもまだ追いついてない部分だと思っています。そのリアル本屋の良さと、デジタルの利便性をHololensがうまくつないでくれるんじゃないか?と。
本だけじゃなく、野菜だったらそれを使った料理のレシピを出したり、普段から良く買うものなら、前回いくらで買ったかを表示したり、薬だと成分表を読み取ってくれたり、みたいな機能があってもいいかも。
演劇・ダンスなど
演劇・ダンスといったパフォーミング・アーツをテレビや映像ソフトで見たことがある人はいるでしょうか?どんな素晴らしい作品でも、画面を通すと、なぜかその良さが全く伝わってきません。
映画や音楽と違って、ソフト販売があまり期待できないので、パフォーミング・アーツにとって売上の上限はたいていキャパシティ×単価で決まってしまいます。
なぜ、演劇をソフト化したら伝わらないのか?を考えたことがあるのですが、その理由は、「視点」の問題なのではないか?と推測しています。舞台を観に行くと、自分は舞台上の好きなところを観ているわけですが、映像ソフトになると視点が固定化されてしまいます。それが舞台作品への没入感を著しく損ねてるのではないか?と。
「圧倒的なリアリティの違いは、目の前に生身の俳優がいるかどうかの違いだ」という人もいますが、僕はそうでないと思っています。生身が必要なら、初音ミクのライブイベントがあんなに盛り上がるはずがありません。
なので、このHoloLensを使えば、もしかすると史上初めて、ライブの臨場感を持ったパフォーミング・アーツの映像作品が作れるかもしれません。
スポーツ
野球もサッカーも、生で観たら選手の名前を一発でほとんど覚えてしまった。という経験はないでしょうか?僕はあります。これも演劇・ダンスのところで説明した「視点」の問題じゃないかなと。テレビだと自分が見たい選手だけを追ってくれる、ということはないので。
あと、アメフトだったらラインを表示したり、野球だったら、スタジアムで観戦しながらも打率とかの数字情報を出したり、打球の放物線を描いたりできます。F1だったらドライバーの名前とタイムを車の上部に出したりとか。スポーツ観戦がちょっと変わるかもしれません。
課題
そんな感じで期待できるHoloLensですが、現在のままではもちろん普及は難しいです。そもそも一般に向けて販売されているものではないですが。
普及品を作るならもっと重さが軽くなる必要がありますし、バッテリー駆動の時間も伸ばさないと旅行や球場で使えません。デザインももっと洗練されないと外で使うのはちょっと。。。
でも、ここには未来があります。未来がこうなるのは明らかです。キラーアプリケーションを作ろうという人はいまから準備したほうがいいですね。多分。