はじめに、このブログは私の個人的見解に基づくものであり、NISAに関する法的、取引制度的に正しい説明をしているわけではありません。また特定の金融機関・金融商品の勧誘をするものでもありません。文中に出てくる金融機関・金融商品と取引関係はありません。また、筆者は金融商品、投資に関して特別な教育を受けた専門家ではありませんので正確性は保証しません。投資は自己責任でお願いします。
金額が小さすぎるわ
前回、「譲渡益課税の軽減税率がなくなる」と書きましたが、投資を推奨したいのなら、なぜあれを残さなかったのか、疑問で仕方ありません。
今の家計の金融資産は1世帯あたり平均1,101万円です。(2013年11月17日日経新聞)うち約半分を株式投資に回すと考えたら、500万は妥当にみえるかもしれません。
しかし、前回説明したとおり「1回売ったら終わり」なので、保有額が最大500万円まで、という話。100万円の株を買って、110万になったら売って、今度は別の会社の株を110万円分買って、という「複利」こそが投資の醍醐味です。1回30万円の取引でも4回繰り返したら120万円。もうNISAの枠を超えてしまいます。
これまでの譲渡益課税の軽減税率は、何度売ったり買ったりを繰り返しても適用されました。それに比べると、NISAでの複利運用は投資信託などに限られ、規模感も複利のスピード感もこれまでのものに比べると、圧倒的に制限がかかってしまった感じがあります。
制度がややこしすぎるわ
金融商品の取引や、税金などに関するルールは、適用事項や例外などが数多くあり、制度が複雑で小さい字で書いてあるものだと思います。そういったものの大半は投資家保護のためにあるのだと思います。
それにしても、この制度は一言で説明できなさすぎです。
証券会社と投資家、誰が得をするのか
実のところ、このNISAが何を目指しているものなのか。実はそれが一番わかりません。これまでの検討の経緯などについては、金融庁が2年前にまとめている平成24年度税制改正要望項目というのに詳しく書いてあります。
http://www.fsa.go.jp/news/23/sonota/20110930-9/01.pdf
これを見ても、やはり、株式の譲渡益課税の軽減措置が終わるので、それに代わる制度を、ということで作られているようです。「貯蓄から投資へ」というキーワードも見えます。
しかし、現状で金融資産を持っていて、株式投資などで積極的に運用している人にとっては、NISA口座の損失が他の株の利益と通算できないのはデメリットでしかありません。一方で、「これからやってみようか」と思っている人にとっては、「1回売ったらおしまい」というルールはいろいろ試してみたいときにハードルになります。投資初心者がもし損失を出してしまっても、それを繰り越せないので、「来年取り返してやろう!」という気持ちにはなれません。
NISAを取り扱う金融機関である銀行、証券会社にとっても同じのようです。いろんなサイトを見比べていると、やはり投資初心者、特に20代の若者を取り込もうとしているPRを見かけます。(WEB媒体だからかも知れませんが)しかし、株で儲けたことがないこの世代にとって「税金がかからない!」と言われても、いまいち刺さりません。だって払ったこと無いんですから。とはいえ、NISAを入り口に口座を開設し、特定口座へと流れてくれるのを狙って、獲得しにいってるという感じでしょうか。今は。
と、いうことで、問題点というより、ほぼ僕の所感なのですが、どうも開設するメリットを感じない、というのが正直なところなのです。が、いま、開設するとそれだけでお金がもらえたりします。と、いうことで、その辺りの情報を次回はまとめたいと思います。