いよいよ、来年1月1日からNISAが始まります。すべての金融機関を通じて1人1口座しか作れず、複数の金融機関で作ることが出来ません。各金融機関ともに、自分のところで作ってもらおうと必死に口座獲得合戦を展開中。いよいよラストスパートとなってきました。で、NISAについての解説記事を書こうと思ったのですが、何しろ、制度が複雑怪奇なので、1回では説明しきれません。4回に分けて説明したいと思います。
はじめに
このブログは私の個人的見解に基づくものであり、NISAに関する法的に正しい説明をしているわけではありません。また特定の金融機関・金融商品の勧誘をするものでもありません。文中に出てくる金融機関・金融商品と取引関係はありません。また、筆者は金融商品、投資に関して特別な教育を受けた専門家ではありませんので正確性は保証しません。投資は自己責任でお願いします。
株式等の譲渡益・配当金・分配金の軽減税率終了に伴う制度
2013年12月末で、株式等の譲渡益・配当金・分配金に関する軽減税率が終了します。株が値上がりしたことによって実現できた利益や配当金、投資信託の分配金などにかかる税率は、たった利益の10%でしたが、2014年1月1日より20%に倍増します(復興特別所得税除く)。その代わりに、投資を促進するために作られた制度がこのNISA(少額投資非課税制度)です。私は、NISAについては、これまでの軽減税率と比べようのないひどい制度だ、と思ってるのですが、それは次回に詳しく話します。とにかく、株式などの譲渡益など関する税金の優遇策が、このNISAというやつにとってかわります。
毎年100万円、各5年間、計500万円まで。
NISAといえば、この図を見たことがある人は多いのではないでしょうか。(国税庁資料から引用)
1人1万円、各5年間、最大500万円まで非課税枠になる、という説明です。NISAというのはいろいろ不可解なのですが、この図がまず不可解です。まずは「毎年100万円ずつ、非課税で金融商品が買える」と理解してください。その上で、次以降の注意点が有ります。
使わなかった非課税枠は繰り越せない。
1年間100万円まで投資ができるのですが、余った分を翌年に繰越できません。ある年80万まで投資しました。枠が20万円余っています。じゃあ、次の年は120万投資できるか?というとそれはできなくて、その年新たに投資できるのは100万円までです。それを5年間繰り返せるので、最大500万円、という言い方になります。
1回売ったら終わり。
ある年、NISA口座で4月末日にA社の株を80万円買ったとします。翌月すごい値段が上がったので、5月末日にA社の株を半分で売ったとします。この時の利益は非課税になります。持ってる株を売ったので、NISAの枠が40万円増えるように思いますよね?でも、一度使った枠は再利用できないので、これから使える購入枠は引き続き20万円のままです。
5年持ちづつけたら課税される。
逆にNISA口座で買っても、5年間満期まで持ちづづけたら、その後は普通の口座(特定口座や一般口座)に移動になり、その後の配当、売却益は課税の対象となりってしまいます。しかし、100万円以下の部分については、NISA口座で持ち続けることが出来ます。当然、その年にNISA口座で新しく投資できる金額は移動してきた金額分だけ減ります。例えば80万円分の株を移動してきたら、その年新たに投資できるのは20万円だけです。
他の口座と通算できない。
B社の株を100万円買ったとします。ところが、この会社が粉飾決算していたことが判明し、株価が暴落したとします。10万円で売りました。なんと90万円の損です。ちょうど、同じ証券会社の特定口座で持っていた別の会社C社の株が値上がりして、利益50万円を確定したとします。通算すれば、マイナス40万で済み、税金を支払う必要はありません。ところが、NISA口座とその他の口座は通算出来ないので、利益50万円に対するキャピタルゲイン課税20%=10万円を支払わなければなりません。
繰越控除もできない。
NISAの口座でD社の株を買って50万円の損失を出し、それ以外の口座でも50万円の損失を出したとします。普通は翌年に合計100万円の損失を繰り越すことが出来ますが(最大3年間)、NISA口座の損失は繰り越せないので、翌年に繰り越せる損失はそれ以外の口座の50万円だけです。
買える商品はこの4つ。
証券会社のNISA口座なら上記4つとも、銀行に開設したなら2の株式投資信託だけ、それぞれ購入することが出来ます。債権、非上場株式は対象ではありません。また、いま持っている株式をNISA口座に移してくることも出来ません。
1回作ったら4年間は他の金融機関に移動出来ない。
NISA口座を一度作ると、4年間はその金融機関にそのままNISA口座を置き続けなければなりません。NISAの口座は納税と密接に関係があるため、金融機関が開設について税務署に届け出をしなければなりません。また、結構ややこしい仕組みなので、システムも新たに作ってるはずです。その辺りの手間がかかることを考えて、頻繁に移動されたら金融機関の不利益になる、ということでこういう仕組みになっているのでしょう。投資家にとってはまったくメリットのないルールです。
と、いうのが、NISA口座の概要になります。法的に正しい説明などが知りたい場合は、剛力彩芽ちゃんが説明してくれているこちらのサイトなどもご参照ください。